アトモスの社長も示唆、ナイキが直販化を加速

解説

アトモスといえば、スニーカー流通の雄である。

長年最先端のスニーカー流通を支えてきたが、ここへきて、やはりナイキ本体のECシフトが鮮明になっていて、卸し代理販売をしているアトモスでも危機感があるようだ。

アトモスの社長なるツイッターアカウントで、1月22日、以下のようなつぶやきを見た。

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来週に発売されるナイキのDunk やForceがシステムエラー(そう説明を受ける)で延期になる。しかし、私達小売は延期。NIKE SNKRSでは発売するとの事。やはり直販を増やして、将来的には自社で全てを売るのだろう。多分ATMOS も先が長くない様に思える。が知恵の見せ所?私の脳味噌は糞味噌であるが。

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これはつまり、ナイキから卸される小売向けのシステムエラーで、小売では発売が延期になる。

しかし、ナイキの直販であるSNKRSでは、延期せずに発売する、ということだ。

そのため、アトモスの社長はナイキの直販が加速していると解釈したようだ。

◆メーカーにとっては直販が一番儲かる

これは当たり前なのだけれど、卸しが入ってきた段階で、卸分のマージンが発生する。メーカーとしては、値上げをすることで自らの利益を高めるしかないが、じつは、卸しを飛ばして直接顧客に売れば、メーカーは卸しに金を落とさないで済むので、利益が上がる。

実際、ナイキは近年、どんどん値上げをしている。

このコロナ禍で、EC化は間違いなく拡大しており、合わせてメーカーは、利益確保の観点もあり、直販を加速している。

つまり、卸し業者や、代理店の存在意義はどんどん低下している。

◆従来の卸業者の存在意義

一番考えやすいのが、卸業者というより、代理店という仕組みだろう。

製品を作った事業者は、その流通まで担うのは負担が大きい。そこで販売代理店を利用して製品を売るわけである。単純にそういう仕組みなわけだが、よく考えると、ビジネスの比重は、流通にあるのである。

何を言いたいかというと、顧客と金のやり取りが発生するのは、流通の場面である。ここで売れなければ、どんなに良い製品を作っても、お金にならない。

逆に、ここでお金になるならば、ゴミでもなんでも良いわけだ。

◆ECは日本でも浸透した

これまでは、デジタルでの購入が「浸透しつつあった」状況なので、実店舗ももちろん意味を持っていたのだが、流石の日本でも、ECはほぼ浸透した。コロナでさらにその傾向は固まった。

ナイキは、世界で展開しているので、EC化が早く進む米国や中国などのノウハウがすでに溜まっている。日本でもその手法で、直販を加速することは当然だ。

直販すると、ナイキから顧客に直接物が売れるため、中間マージンが必要なく、より適切な価格で、顧客が購入できる。

顧客との綿密なコミュニケーションといえば、確かに卸しの販売店があったほうがより細かなコミュニケーションは取れるだろうし、本来ここを卸しが強みとしなければならないのだが、リアルのコミュニケーションの合理性は低下している。重要性は低下していないと思われるが。

◆リセール市場の拡大

ナイキからの卸しで商売してきた代理店が苦境にありつつある中で、

明確にリセールをしている業者はそれでも生き残るだろう。

特に在庫を持たない、ユーザーをマッチングさせるパターン。つまりStockXの勃興に象徴されている。

StockXは、明確な2次流通なので、プレミア価格で売り手と買い手をマッチングさせて、

マージンを受け取ることで成立する。

似たようなことは日本の市場でも行われており、これに関しては、ユーザーが多ければ多いほど成立するので、モノカブやスニーカーダンクあたりが結果、1強として市場を作っていくのではないか。

そのあたりは、引き続き注視しても良いだろう。

◆スニーカー卸し業者の今後

ユーザーを介した2次流通ではなく、自社で在庫を抱えるスニーカー卸し業者は、その業態を鑑みても苦しい状況に入りつつありそうだ。

メーカーは直販に走り、在庫の無いものにニーズが集まりプレミア化する。プレミア化しているスニーカーの売買では、2次流通のマッチングが横行する。その間にある。

それでも、活路は見出せるのではないかと思う。

メーカー側によるのか、2次流通によるのかは定かではないが、

おそらく、ナイキなどのメーカーとブランドコラボすることで、

存在感を維持していくのが良いのではないだろうか。

つまり、ファブレスのブランド化路線である。

この部分はとても興味深いので引き続きウォッチしていきたい。

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