オフホワイト×ジョーダン5のコラボが、2月15日に発売されるという噂だ。これがどのようなルートで発売されるかは、非常に重要だろう。なぜならば、2020年に入り、SNKRSの利用が変化しているからだ。
■通常のナイキアプリと、SNKRSの併用による弊害
ナイキは、ウエアやスニーカーなど、通常の商品を販売するナイキアプリと、スニーカーを専門にするSNKRSの二本柱でアプリを展開している、
これまでは希少スニーカーは、SNKRSでの販売が主だったが、その動向に変化が生じている。
2019年はSNKRSのアプリで、ゲリラ販売と言われる急な販売や、新商品の情報先出しが頻繁に行われていたが、2020年になりその気配が一気に薄れた。
その一方で、通常のナイキアプリで、希少性の高いスニーカーが、会員限定などの状態で販売されることが増えているように見えるのだ。
■SNKRSハッカーたちとのいたちごっこに終止符
SNKRSの歴史は、アプリハッカーたちとの戦いの歴史と言える。
SNKRSで希少なスニーカーは普通に買おうとしても、発売直後の数秒で完売になる。そこには、アプリをハックして確実に購入しようとする、転売目的のプロたちが多数存在する。
SNKRSではそうしたプロたちとの戦いがこれまでずっと続いてきた。
その対策コストは莫大であっただろう。
しかし、その都度ハッカーは状況を覆す。いたちごっこは終わりがない。
そこでナイキは、SNKRSをある種諦め、通常アプリを本筋として、そこに対策コストを一括投入する、といった方針に転換したの腕はないだろうか。
今回のようなオフホワイトコラボモデルが展開される場合、どのようなルートを辿るのかは、今後のナイキの販売網を占うのに非常に有効だろう。
■もう一つは、ナイキのAmazon離脱
ナイキは、先頃、Amazonから離脱した。
これはつまり、ナイキは独自の販売網で事足りる、ということを意味する。
販売網を自前で持つことは、メーカーの悲願ではあるが、その環境を現実にすることは非常に困難で、ナイキのような限られたメーカーの特権である。
この状況下では、やはり販売網の堅牢性を保つためのコスト等かは分散ではなく、一本化すべきで、ナイキはどこにナイキの世界を構築していくのか、注目に値する訳だ。
■とはいえ、オフホワイトはSNKRSで売られる
筆者の予想は、SNKRSでオフホワイトコラボは売られるだろうということだ。
しかし、これまでとは違う形かもしれない。これまでは、人気モデルほど、販売の直前に情報が解禁されたが、実際、情報解禁のタイミングは、大きな問題ではない。
問題は前述したようなアプリのハッキングなのだ。
正当な、販売競争環境を全ての購入希望者に提供するため、ナイキの販売網投資は続くし、消費者たちはそこをハックして、転売して儲けようとは考えないことだ。
なぜなら、短期的にはハッキングした人間が儲かるかもしれないが、そこには長期的な未来は一切ないからだ。
ナイキが倒れてしまえば、転売ビジネスもたちきえるという訳だ。
願わくば、転売屋も、一般消費者も、横一線で購入競争をすることで、ナイキのブランド戦略は持続性を保ち続けるだろうし、ナイキのブランド戦略は生き続けることで、皮肉ではあるが、転売屋のビジネスも生き続けられるのだから。