エアマックス95ミントラッシュでわかる、ナイキブランド戦略のアディダス化

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エアマックス95といえば、ナイキの絶大な人気モデルだ。

特に、イエローグラデと呼ばれるカラーリングモデルはスニーカーの王者といっても過言ではないだろう。

文字通り、1995年に展開されたモデルであるにも関わらず、2019年現在もそのブランド、人気が衰えることを知らないこと自体が、驚異的である。

なぜこのような驚異的な人気を誇るのかといえば、ナイキのブランド戦略の巧妙さに尽きる。

もちろん、そのスニーカーのデザインや背景がまず非常に重要だ。最新テクノロジーの搭載や、広告塔となるスター選手などもスニーカーのブランド価値を上げる。

一旦発売され、爆発的な人気が出た後は、数年後に再販売されることが普通だ。エアマックス95も、何度も再販売され、再販売された年のモデルが微妙に形を変えているため、マニアにとっては再販のたび入手したくなる。

そのタイミングで激戦が報じられ、スニーカーの存在を定期的に市場に知らしめるわけだ。

ところで、アディダスのブランド戦略はどうかというと、ナイキとは趣が違う。ナイキは基本的に希少性を押し出すので、販売数量が少ない。アディダスは逆で、販売数量が多く、在庫は潤沢に見える。


例えば、アディダスの人気スニーカーイージーブースト350V2がそうで、先日発売になったカラー、セサミなどは、様々な場所で潤沢な在庫が販売された。もちろん、希少なカラーもあるのだが、カラー次第では在庫はある程度存在し、オンライン販売でも、ナイキのように常に即完売、ということはしない。

アディダスと、ナイキの販売戦略にはそうした決定的な違いがあるのだが、今回、ナイキの販売戦略にもアディダス化の現象が見られる。

ナイキのエアマックス95ミントラッシュは、イエローグラデを彷彿とさせるスマートなカラーリングだ。

先日、発売はあったのだが、相当数の在庫が存在し、オンラインでもそれなりの数の人たちが購入した模様。その結果、転売のメルカリ価格などは、ほとんど定価状態でも買いがつかないような状態だ。

さらにこのミントラッシュ、6月1日の追加販売も予定されているので、さらに在庫数は潤沢であるということが言える。

最初の発売から3週間程度のタイミングで再び販売されるというのは、異例ではあるが意図があることも透けて見える。

ナイキの販売戦略のアディダス化とともにもう1つ、いまいち成功しなかったのが、ナイキのリストック販売だ。

リストック販売とは、一度発売したスニーカーをオンラインで突如再販売するもの。

偶然アプリを開いた人などが購入できるため、botなどによる転売事業者の参入防止という見方もあるが、突然すぎるのと、リストックの在庫は常に少ないため、リストック発売があったこと自体は情報として残るが、その販売でメリットを享受する、スニーカーを購入できるユーザーの数より、購入できずに悔しがるユーザーの数の方が圧倒的に多い。

そもそも予定されている発売タイミングでもbotを含めた過熱感があるのだが、追い打ちをかけるようにリストック販売が、ユーザーを傷つけるような構図になっているわけだ。

希少性を打ち出すということは少なからずユーザーを傷つけているのだが、ユーザーのハングリー状態をうまくコントロールして今がある。

オンライン販売がここまで一般化した現在、ナイキの希少性コントロールの販売方針に限界が見られ、その対策として在庫潤沢なエアマックス95ミントラッシュが登場したとみる向きはひとつの方向性としては明確なのではないだろうか。


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