アディダスのイージーブーストといえば、いわくつきの大人気モデルである。
なぜいわくつきか。理由は、デザイナーのカニエ・ウエストにある。彼は当初ナイキから、イージーモデルを投入していた。
しかし、ナイキとの契約や金銭的な問題が生まれナイキと決別。その後アディダスと契約し、イージーブーストというこれまた人気モデルを展開するに至った。
さて、アディダス的には転がり込んだ人気モデルだが、様々なカラー展開をしてきた。そして、すべての人にイージーを、という戦略で今回、イージーブースト350V2トリプルホワイトを投入した。
品薄状態にあったイージーブーストだが、なんとこのトリプルホワイトは、発売から2日が経とうとしているが、本稿執筆時点の28日9時でも全サイズ在庫あり、となっている。
ここから透けるのは、アディダスのナイキ対策だ。
ナイキといえば、ジョーダン1やエアマックス95など、希少モデルを展開し、需給バランスの歪みをブランド価値に結びつけてきた。
この取り組みは諸刃の剣で、なかなか入手困難なモデルに対してファンのストレスとトレードオフでブランドを高めているわけだ。
もちろん、ナイキなのでファンのストレス圧力に屈しないスマートなやり方でブランドを唯一無二まで高めた。
アディダスにもこのやり方ができるか。
筆者は個人的にはできると思う。
そして今回、大量の在庫を用意するという戦略を、イージーブーストで展開したわけだ。
これにより何が起きるか予測すると、まずは希少だと思われてきたイージーブーストが希少ではなくなる。すると人気を落とす、という可能性すらある。
しかしここには伏線がある。多数のカラー展開である。つまり、トリプルホワイトは在庫があるが、他のカラーは希少であるということだ。エアマックス95や、ジョーダン1でも似たような状態ではある。
そう考えると、イージーブースト350V2は、爆発的需要と在庫希薄の状態から、一部カラーを在庫ありにしておき、導入モデルとし、一部カラーに希少性を持たす、という大人気スニーカーがたどる展開に持ち込んだと言える。