AJ1が価値を落としてしまった背景にあるもの

解説

AJ1Pollenが発売された。

最近AJ1は、ローカット志向の市場の影響もあって、ローカットかつ、ウィメンズモデルが乱発されてきた。

今回発売されたPollenは、カラーリング的には、それなりの人気が出そうなカラーであったが、足数が多く、限定オファーでも相当数の販売があった。

その影響で通常販売では、AJ1特有の瞬時の完売ということはなく、ぬるっと完売した。

欲しかった人には確実に手が届く商品だったのだ。

同じような現象は、AJ1シャドー2.0hでも発生した。

AJ1シャドーといえば、隠れた人気カラーである。

そのカラーリングを反転させたのがシャドー2.0だが、これも足数が多く、欲しいユーザーにはしっかり行き届いた見込みだ。

AJ1が浸透することはとても喜ばしいことだが、一方でも問題もある。

スニーカーダンクの存在は、スニーカー好きならば誰しもが認識しているだろう。

スニーカーダンクは二次流通も手がけているが、友達紹介で3000円、4000円のクーポンが取得できる。そうなると、Pollenやシャドー2.0など、足数が多いAJ1は定価割れを起こすわけだ。

シャドー2.0は二次流通で、22000円程度、Pollenに至ってはほぼ定価で二次流通に回っている。

つまり、大幅に定価我した状態で、AJ1が手に入るのだ。

こうなると、AJ1ブランドは落ちる。

バーシティレッド(AJ1のブレッドのカラーを反転させたもの)は足数は少なかったため、二次流通でも高音を維持しているが、そこに続く、シャドー2.0、Pollenは明らかにブランドの価値を落としている。

これはナイキが予測した以上の、ブランド毀損のはずだ。

そしてスニーカーダンクは確かに便利だが、AJ1のようなブランドを自ら落としていることに気づかなければ、ゆくゆくはスニーカーダンク自体のビジネスも、落ちていくことにつながる。

今は、調達した資金を使って、会員を増やし、流通金額を増やすということに邁進しているのかもしれないが、スニーカーダンクが自らのユーザーを獲得することが、市場の活性化につながるとは限らない。

市場の活性化は、スニーカーの希少性をギリギリでコントロールするメーカーのマーケティングと、それに乗るユーザーがあり、二次流通での盛り上がりがそこに連動する。

メーカーのマーケティングも、力技が増え、足数が増えることで、希少性を損ないすぎてしまうモデルが多い。

そしてそこに拍車をかけるのが、そうした二次流通プラットフォームだ。

スニーカーダンク一辺倒になればなるほど、スニーカーは購入しやすくなる。

それはある面では良いことだが、一方では、関係者の首を静かに締めていく。

調達資金の使い道は、十分に注意してほしい。それによて、スニーカーブランドが思わぬ形で落ちてしまう場合は、ナイキをはじめとするメーカーが今度は投資して回復させなくてはならず、メーカーの体力を削ることになり、結果として魅力的な新スニーカーの創出を妨げることになってしまう。

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